そらちがうがな


castle
ちょっとした町に入るとかならずと言って良いほどりっぱな聖堂と重々しい城を見ることが出来る。
さすがに、地震の少ない地方だけあって分厚い石造りの城壁はいずれも歴史が古く、約1000年近く昔のノルマンコンクエスト時代はあたりまえで、ローマ帝国の植民地時代にまで遡るものも少なくない。

砦タイプの城は、中に入ってみると床や天井がなかったり、窓は穴が開いているだけだったりして陰気な感じで、しかも敵の侵入に備えてか迷路のように複雑だ。せまくて長い螺旋階段を登り望楼から周囲を見回すと、遥か彼方まで展望が効き、まさに戦のための建物であることがよくわかる。

居城タイプの城も、ヨーロッパ一の規模を誇るウィンザー城などをはじめとして,、元は砦として造られ、後世になって改装されたものが少なくない。日本の城と同じく優雅な内装にそぐわない、血なまぐさい雰囲気がただよっている。でやはりというか聞いてみるとたいてい非劇的な逸話や幽霊伝説があったりする。

車で走っているとよく道路標識にお城のマークを見つけるのでつい寄り道したくなってしまう。無論有名な城で良く手入れされて、内部が博物館になっているようなものもそれはそれで興味深いがなぜか記憶に深く刻まれるのは名もない、保存に四苦八苦しているような城の場合が多い。

北ヨークシャーの中心都市、リーズ市に行った時のことだった。ここは全く観光とは無縁で、いわゆる見所など存在しない普通の町だった。ところが何故かリーズという名前が以前から頭に入っていたような気がしていたのにその原因が分からなかった。夕食時に気になって回りのものに聞いたりしたが誰も知るはずがない。なんだか胸につかえたような感じのまま翌日の朝食中に突然思い出した。
そうだ、リーズといえば有名な城の有る町じゃないかと気がついた。そうとなると、時間は有るし、これは一度行ってみねばと意気込んでレセプションへ向った。
レセプションにいたのは若いお嬢さん。きれいな顔をして強烈なヨークシャー弁を話す。前日には聞き取りに苦労したしたのを思い出したものの、こちらの言うことは良く通じるのでリーズ城への道を尋ねるとえらく困ったような顔をして私も良く知らないがとても遠いですよ、大変ですよと言っている。こちらは車だったので少々構わない旨を伝えるとさらに困った顔をして奥に入ったまま出てこなくなってしまった。

しばらくして戻ってきたのは地図と男の人と一緒だった。そして、その男の人が示したリーズ城の場所は、そう、おさっしのとおり、はるかロンドンを越えて400キロも南、ケント州にあった。綴も同じLEEDS CASTLE。あーあ、うろ覚えのあやふやな知識のおかげで赤っ恥かいちまった。それにしてもなんでこんな紛らわしい名前をつけたんだろう。


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