ツーリングからパスハンへ





サイクリングも初めの頃はどこへ行くのも物珍しく、ただ長距離を黙々と走っているが、そのうちある程度のキャリアを積むと興味はさまざまな方向に膨らんでゆき、それにともなったハードが欲しくなってくる。

私も、社会人になってからサイクリングを始めたことから、当初は旅館利用のツーリングをロードレーサーにデイパックをかつぎフック式のフロントバッグで無理矢理行ってたものの、さすがに不満が出てきてツーリズムを作ることにした。

その頃には自転車についての知識もかなり付いてきていたので、セミオーダーのフレームに好みのパーツを自分でアッセンブルして組み立てた。

ツーリズムといえばその頃はなんといっても本家フランスではルネルス、日本ではTOEIだったがとても出が出る価格でなかったり、面倒だったりで、最初でもあり吊るしのセミオーダーを注文して、道具もそろえ組んでみた。

組立てはプラモ感覚で、現在のように部品の性能が良くはないが、その分許容度が高く、様々なパーツの組み合わせが可能で、しかも、調整によって性能に極端に差が出るので面白くて仕様が無かった。

さて肝心の使い心地と言えば、積載量の多さや、クッション、低速安定性の良さなどロードとはまったく別の世界に目からウロコが落ちたような感覚を今でも懐かしく思い出す。

しかし、成り行きというのは面白いもので、長距離、大積載量をねらったアッセンブルはインナーに26Tを装備したのだが、それが皮肉なことに短距離化、軽装備化を促す事になってしまった。つまり、26Tで楽に登れ、太いタイヤとギドネットレバーで楽に下れることに味をしめた私は、フィールドをどんどん山地に求めるようになってしまった。

その結果、フロントバッグとキャリアを外してしまい、ハンドルバーの下は切り取り、最後には、ほとんど使わないアウターはかつぎ時に服を汚すのを嫌って入らない様調整してしまい、ピカピカのまま現在に至っている。

すでに、山行きは、より機能的なクロカンやマウンテンバイクばかり使うようになって、再び最初の用途に戻った今、のんびり山里を走るときには弁当とコーヒーセット持参で、用途不明になってしまったこの自転車を愛用している。


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