軽量リムにチューブラータイヤの組合せをクロスレシオで踏むとその感触はまるで風になって飛んで行くとはかくありなんといった所だろうか。生まれて初めてロードレーサーに乗った時は本当に興奮したものだった。
何度か、草レースやセンチュリーランなどのイベントに参加したり、仲間とトレーニングするうちどうにもしっくり行かない気持を抱くようになってきた。どうも走らされているというか、常に頑張らざるをえないような自分に気がついた。
スケルトンやアッセンブルの関係かと、長距離用のフレームを作ったり、タイヤだギヤ比だといじりまわったが解決しない。
しかし、ビルダーの人とうだ話をしているうちに、ヒントを授かった。フレームを作る時、同じパイプでも取る場所によって、同じフォークでも曲げるラインによって、又、ラグの形状、潰しの大きさによってもフィーリングは変わってしまうというようなことを教わった。
そうか、フィーリングの問題を数値で解決しようとした私はまだ青かった。それならばと能動的に軽快に走ることの出来る、ちょっとおしゃれなスポルティフを作ってもらうことにした。
見栄えは自分で考え、性能はビルダーまかせ、出来上がったのが写真の自転車だ。乗り心地はブリリアント。私はアスリートではなくサイクリストであることを再確認させてくれた一台であった。
イギリス独り言
ランサム サガ