ふつう自転車のフレームはパイプで作られている。ということは何らかの方法でパイプ同士をつながねばならない。その方法とはおおまかに3つに分けられる、つまり1.ロウ付
2.溶接
3.接着。で、1.と3.は良く似ている。ラグを用い、パイプを差し込んでその隙間に別の材質を充填する。一方2.はパイプと同じ材質を溶かし込むことによって接合する。よって2.(溶接)はラグレス構造となり、接合部に意匠の入り込む隙はない。3.(接着)も剥離強度や接着剤自体の強度の低さからラグ形状の制約が大きい上にコスト上の問題から同じような形状の遊びの少ないものとなってしまう。
1.(ロウ付け)はまったく違っている。写真を見て欲しい、様々なヒゲは伊達ではない、すべて接合部の補強のみならず、フレーム自体の性格付けや加熱後の残留応力軽減にも一役かっているのだ。さらに、その補強の肉を抜くことによって重量の増加を抑えてある。そう、ラグ付きのスチールフレームはデザインすることによって、遊ぶことによって機能を附加させる工法なのだ。
スマートなイタリアンカット、優雅なコンチネンタルカット。力強いロングポイント、シャープなショートポイント。名前やマークの刻印も軽量化の役目をりっぱにはたしている。有名なビルダー達はオリジナルなデザインを競い、コレクター達は世界に一つしかない自分だけのデザインを作ってもらう。その気になれば自分で作ることさえ可能だ。こんなぜいたくがかくもたやすく出来るのは他に余り無いと思うがいかがだろうか。
イギリス独り言
ランサム サガ